このシリーズでは、YouTube において 「コメント数に大きな変化が起きたときに、関連する YouTuber にとって大きなイベントがあるはず」 という仮説をもとに、対応する動画をピックアップします。それによって、チャンネルの歴史を振り返ることを目的としています。
今回の解析チャンネル:六丸の工房
六丸の工房は、六丸さんの類稀なる語彙力と幅広い声真似によって、様々な動画にアテレコするチャンネルです。
YouTube での生配信では、ニコニコをメインに活動しているとおっしゃていますが、 YouTube でも 50 万人登録者(2021年1月現在)を誇っています。
「六丸の工房」のコメント欄で現れた特徴的な単語の可視化
この画像は、六丸の工房のコメント欄に書かれた単語を視覚化したものです。単語の大きさが、その単語の使われた頻度に比例しています。
アテレコに用いている映像のジャンルである「アニメ」や、
よく知らないものを「実況」するシリーズが人気であることが伺えます。
下ネタを取り入れていることもコメント欄からも明らかと言えます。
目次
分析方法
YouTube の API によって公開データは活用できるので、理系らしくデータから推しの YouTuber をみてみようと思います。
YouTube API の使い方の記事はこちら
今回は単純にたくさんコメントを付けられた日をチェックしていきます。
再生数ではなく、コメント数を使う理由
日付ごとに集計することが可能だからです。
再生数は現在まで累積の数しか API を使って得ることができない一方で、動画についているコメントは全て日付とともに公開されています。
そのため、コメントを集計することによって当時のチャンネルのアクティブ度をある程度見積もることができると考えられます。
図の説明
近隣の日付に比べてコメントが多い日と、その日に投稿された動画からその変化の理由を考察します。
変化量を見るために収集した期間中の最大コメント数で正規化をしているため、図中の最大値は1になっています。
ではさっそく、チャンネルの転機を振り返っていきましょう。
起こったイベントの解説(2021年1月28日にデータを収集)
2019年4月27日:オフサイド知らないけど世界最高峰の試合を実況解説する【サッカー】
2018年のサッカーチャンピオンズリーグ決勝のハイライトに、勢いとノリで適当にアテレコする動画であり、
累計で700万回再生を超える人気動画です。
この動画を機に、コメント欄がより活発になったことが図から読み取れます。
動画内のコメントを眺めてみると、幅広い日付からコメントが来ていることがわかり、この動画の人気度が伺えます。
話している内容が何一つ合っていなくても、いい声でそれっぽく実況し続けるところが本当に笑えます。
加えて、唐突な小ネタは天才的です。
サッカーをよく知っている人だけでなく、サッカーをよく知らない人にとっても面白い動画となっています。
この時期に始まった人気シリーズが気になる方は以下の video id を YouTube で検索してみてください。
n1D7WBtrTHs # 【2018年版】オフサイド知らないけど世界最高峰の試合を実況解説する【サッカー】
2019年7月14日:若者よ、選挙に行け
次に注目したいのが、徐々にコメント欄が賑わっていく中で、特に突出している2019年7月に投稿された動画です。
六丸の工房では普段、外国人が出演する映像に面白おかしくアテレコする動画が多いため
お馴染みの動画かと思いきや、大きくテイストの異なる動画が投稿されました。
一言でいうと、「大真面目」でした。
その動画は、若者が選挙に行く大切さを励ますように伝えてくれる感動的な動画でした。
「(投票は)無課金でもできる」など、くすりと笑える要素も混ぜ込んであり、本当に完成度の高い動画と言えます。
この動画は180万回以上再生されており、もはや若者の投票率向上に寄与しているかもしれません。
結果的には、普段の動画とのギャップが多くのコメントを呼んだと考えられます。
動画が気になる方は以下の video id を YouTube で検索してみてください。
C_X3kMlBL74:若者よ、選挙に行け
2020年3月31日:替え歌&ロリ裁判、連続投下
最後に、六丸の工房チャンネル史上最も多くのコメントが集まった日を紹介します。
2020年3月31日、Official髭男dismさんの名曲「Pretender」の替え歌動画と、性犯罪とロリコンの関係についての裁判の動画が投稿された日でした。
どちらも多くのコメントを集めており、トータルで1日のコメント数を引き上げました。
この日の一本目の動画である替え歌は、ゴリゴリの下ネタをいい声で歌い上げるスタイルで、多くのコメントを集めました。
歌に合わせた画像の切り替えも秀逸で、切れ味抜群の動画となっています。
もう一つの動画であるロリ裁判では、題材が裁判だからか、スケッチ風の絵を使った紙芝居系の動画になっています。
普段はスピーチなどの実写映像を用いることが多いので、絵を用いた動画は珍しいものと言えます。
動画の中身については、初めは突飛に聞こえた主張が、徐々に的を射ているように聞こえてくる面白さがあります。
動画が気になる方は以下の video id を YouTube で検索してみてください。
PKh1mQL5diU # しこってんだー【替え歌】
VzO9d4zdGbA # 復活のロリ裁判
まとめ
以上が、六丸の工房の解析です。
全体をみると、2019年6月以降安定した人気を誇っていることがわかりました。
特にコメント数が多い時期である2020年3月から5月はコロナの自粛期間と一致します。
チャンネルの情報を見てみると、この時期は動画の投稿が多かったことが大きな要因と考えられます。
この期間については、見る側にも時間があったことが関係しているかもしれません。
また、本サイト内で分析に使用したプログラムの組み方も解説していますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。