前記事の急上昇入りチャンネル TOP 3 に引き続き、
今回も YouTube の急上昇について分析していきたいと思います。
今回は主にチャンネルの登録者数と動画の再生回数にスポットをあてて分析していきます。
急上昇とは?
まず、今回注目する急上昇というシステムを簡単に説明します。
YouTube では常に50本の動画が急上昇として、ピックアップされています。
YouTube の画面は普段あなたの好みに合わせて、カスタマイズされています。
そのため、人それぞれ画面が異なります。
しかし、急上昇だけは日本のユーザで同じものが推薦されています。
急上昇入りする条件などは明かされておらず、急上昇に入っている期間も動画によって異なります。
このことから非常にブラックボックスなシステムといえます。
そこで、YouTube から(API 経由という正規の手段で)収集可能なデータをもとにして分析していく企画になります。
誰でも使うことができる API の説明も本サイトで行っていますので、そちらもぜひ見てみてください。
急上昇動画で使われるタグ
詳細な分析に入る前に、急上昇にはどのような動画がピックアップされているのかを見ていきましょう。
急上昇入りした動画を集めて、それらにつけられているタグを可視化しました。
動画のタグとは、動画の投稿者がつけるハッシュタグのようなもので、YouTube での検索や関連動画の順位に影響があると言われています。
具体的なアルゴリズム等は非公開なので、あくまで参考程度に考えていただけると幸いです。
「動画の投稿者がタグをつけている」という点で、動画の特性をよく表している単語がついている可能性が高いと考えられます。
「歌ってみた」「実況」「UUUM」「Vtuber」など、まさに YouTube の「全体像」と言えるような単語が現れているのではないでしょうか。
ちなみにタグがついていない動画もあり、全体では約80%の動画にタグがついている状況でした。
検索で上位表示される助けになると言われているタグをつけていない動画が約20%あることが少し驚きでした。
登録者数と再生回数の関係
さて、ここからが本記事のメイントピックになります。
2021年1月の急上昇入りした動画およびその動画を出したチャンネルについて、深堀り分析していきましょう。
1月中に日本の急上昇動画に一本でも入ったチャンネルを対象としています。
縦軸に登録者数、横軸に急上昇に入った動画あたりの再生回数をとっています。両軸とも対数軸としているので、見た目より上位層はずば抜けています。
各プロットはチャンネルを表し、その大きさは1月に急上昇に入った動画の本数を表しています。
縦軸で示しているチャンネル登録者数が1万(10の4乗)、
横軸で示している再生回数が100万(10の6乗)、
これらのどちらかでも満たしていなければ、ほとんど急上昇に入ることができないことがわかります。
急上昇に入ることは非常に敷居の高い狭き門であることが、具体的な数値からお分かりいただけるのではないかと思います。
チャンネル登録者数と動画あたりの再生回数の相関係数(値域は-1~1)は 0.817 でしたので、非常に強い相関があることがわかりました。
登録者数と再生数が強い関連性を持つことは直感的ではありますが、
この分析によってデータからちゃんと裏付けを取ることができました。
いろいろなジャンルがあっても概ねこの傾向が守られているようです。
続いて、より詳細な分析を行うために、上位層を拡大して見てみましょう(上図の赤破線)。
図中では、「はじめしゃちょー(hajime) 」と「HikakinTV」が重なってしまっていますが、これは似た傾向があることを意味しています。
大きく、音楽系と日本の有名 YouTuber に分けることができます。
上位層:音楽系
アメリカ:JustinBieberVEVO、SelenaGomezVEVO
韓国:BLACKPINK、Big Hit Labels、BANGTANTV、1theK
日本:avex
(The Late Late Show with James Corden はアメリカの深夜トーク番組です。その急上昇動画は全て韓国アーティストの回でしたので、実質的には韓国の音楽動画でした。)
音楽は言語に関わらず楽しむことができますので、やはり登録者数が多いように思います。
特にチャンネル登録者数1000万(10の7乗)だけでみると、半数以上が韓国アーティストでした。
日本でいかに K-pop が人気かがわかりますね。
※ 1theK は表記の都合上、ハングルを省略させていただいています。申し訳ありませんが、ご了承ください。
上位層:日本の有名 YouTuber
はじめしゃちょー(hajime)、HikakinTV、Fischer’s-フィッシャーズ-、東海オンエアは日本の top of the top と言える YouTuber たちでしょう。
日本の YouTuber の壁
登録者数1000万(10の7乗)が大きな壁のように思えます。
日本の人口的にもこの辺りが上限になってしまっているのでしょうか。
逆の視点と言いますか、海外 YouTuber からすると日本の市場は言語の壁によって参入が難しい状態が続いていると言えそうです。
言語という壁の中から出て行くのも難しいですが、壁の外から入るのも難しいというのは必然かもしれません。
まとめ
今回は急上昇入り動画を輩出したチャンネルを、登録者数と再生回数の観点から分析しました。
今後、日本の市場を飛び出していくチャンネルがあるのか、期待してみていきたいと思います。
本サイトでは、YouTube の API を使って得た情報をもとにチャンネル分析を行ったりしていますので、ぜひそちらの記事ものぞいて行ってください。